大人になんてなれなかった
「そうなんだ!応援するね!」
そう私が告げたのは
彼女が本当に彼に恋してるんだということが伝わってきたから
彼女から聞く限り、私が入るもんじゃないって思ったから
私の胸の痛みは勘違いだと思いたかったから
そして、私には恋人がいたから
そうなんだ。応援するね。
言葉は取り戻せない
本当にそうだ
応援するねと宣言した私は応援するしかない
つまり、彼女の話を聞くことしかできない
彼をこれ以上好きになることはできない
彼に好きだと伝えることはできない
できない
彼が好きだと言う気持ちを隠すことができない
そう
私は大人になんてなれなかった
引くことなんてできなかった
彼女がいっそ付き合ってくれるならできたのに
私に望みがあるなら彼の横に立ちたいと思っていた
彼の前ではじめて泣いた時
私の嘘が終わった時。
彼女にはまだ嘘のままだけど。